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銀座恋歌: 第2章 銀座。時計台への憧憬

■その1: 私の恋人

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                     和光の時計台

2006年暮。イルミネーションに飾られた銀座をゆったりと歩いた。
4丁目の交差点に差し掛かり、和光の時計台を見上げた。

偶然5時の鐘が鳴り出した。惚れ惚れと見上げた時計台は、黄昏の天空を背に、鐘の音を嬉しげにひびかせていた。

一瞬の至福であったが、この建物こそ私の恋人なのだ。

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            いのししをテーマにした和光ショーウィンドー

バブルがはじけた以後も、時計台の和光が存続する限り、銀座の心意気は生きてゆく、と信じてきた。6階建ては効率は悪いかもしれないが、それを存続維持しつづけている和光の企業精神に頭がさがる。文化を守ることは今も昔も、お金がかるものなのなのだ。

わずかこの20年で日本人は多くの大切な考え方を切り捨て、忘れてしまったようだ。
だが、時計台はまだ生きている。その姿に私は勇気を頂く。

戦前のビルは6階でも高かったのだろう。和光と同じく戦災をまぬがれた7丁目のライオン・ビヤホールの高さも6階である。

銀座に出かけたら是非このビヤホールの1階2階に行ってみて欲しい。昼の時間帯を避け2階で遅い食事を静かにして欲しい。
ご自分の目でその贅沢で豊かな空間に、心を癒して欲しい。リーズナブルな値段で生ビールは実に美味しい。ビールの嫌いな私が美味しく飲めるのだから。
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                  ライオン・ビアホール天井

現在このような芸術品のビルは建てたくとも建てられない。資金がどんなにあっても、まず職人がいないのだ。戦前のビルのオーナーは銀座には何処にもないビルを建てようという心意気と覚悟があったのだ。

銀座に来た人々に、お金勘定の前にまず夢と喜びをあたえ、共に分かち合おうとする文化が生きていたのであろう。銀座をこよなく愛し、銀座に誇りを抱いていたのである。

当然ではあるが、外資の発想とまったく違う。外資が銀座の土地を買っても結局のところ、儲かるか、儲からないか?効率が良いか、悪いか?・・・これが当然の基準となってしまう。
by bara_gallery | 2007-02-23 11:00 | 銀座恋歌
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